回答
戸籍の附票とは、戸籍と一緒に管理されている記録で、当該戸籍に入っている人の住所移転の履歴を証明するものです。住所の証明書といえば住民票が一般的ですので、戸籍の附票を取得したことがない方、存在自体を知らない方も多いと思います。
戸籍の附票が役に立つのは、住所の履歴を証明しなければならない場合です。典型的な使用例としては、不動産や自動車の名義を持っている方が死亡した場合に、不動産や自動車の名義を相続人に変更するケースです。
亡くなった方が不動産や自動車を所得した日が相当古いような場合、不動産や自動車を取得したときの住所から、死亡までの間に何度も住所を移転しているケースがあります。そのような場合、住民票だけでは住所の履歴が証明できないことがあります。
不動産の登記簿や自動車の車検証を見てもらうと、所有者欄に記録されているのは取得した方の住所・氏名のみとなっているはずです。同姓同名というケースがありうるため、記録された人物と亡くなった人物が同一人であると判断するためには、氏名だけでなく住所も一致している必要があります。
住民票にも、同一市町村内の移動や前住所は記載されますが、市町村をまたいで何度か引越しをしているような場合、住民票の請求はそれぞれの市町村に対して行う必要があります。また、住所移転してから5年間経つと、保存期間の関係で記録自体が消去されている場合が多いです(ただし、2019年の法改正で、保存期間が150年に伸長される予定です)。
その点、戸籍の附票は戸籍とセットになっている記録なので、その戸籍に入っていた間の住所移転の履歴は全て記録されています。つまり、これまで本籍地を動かしていない方であれば、何度住所移転をしていても、自分の本籍地で戸籍の附票を取得するだけで、全ての住所移転履歴の証明が取得できることになります。
また、戸籍の附票の便利な点は、戸籍に入っている人が一人でも残っていれば(全員除籍となっていない状態)、結婚などで除籍となった方についても、当該戸籍に入っていた期間の附票が取得できる点です。
ただし、本籍地の役所が管理しているので請求先が本籍地となるため、遠方に本籍を置いている方は取得に時間がかかる点には注意が必要です。
それでも、ケースによっては住民票で履歴を証明するよりもはるかに容易に、過去の住所や住所移転日、現住所とのつながりを証明できるため、戸籍の附票というものがあることを知っておいて損はないでしょう。