定義
遺留分減殺請求とは、遺留分を侵害された相続人等が、遺留分が侵害された限度で、生前贈与や遺贈の効力を失わせ、被相続人の財産の取り戻しを請求することをいいます。
解説
被相続人(亡くなった人)の配偶者や子など一定の法定相続人には、民法上、最低限の遺産を相続する権利が認められています。このような権利は遺留分と呼ばれ、遺留分を有している相続人等を、遺留分権利者といいます。
遺留分権利者は、被相続人の生前贈与や遺贈などによって、遺留分に相当する遺産を相続できなかった場合、遺留分減殺請求することによって、遺留分を取り戻すことができます(民法1031条)。
遺留分減殺請求の方法について、民法上、特に定めはありません。
もっとも、実務上は、遺留分減殺請求がなされたか否か、後日争いが起きないよう、内容証明郵便等によって、明確に意思表示しておくことが望ましいです。
なお、遺留分減殺請求は、消滅時効があるため、相続開始及び贈与又は遺贈により遺留分の侵害を知った時から1年、もしくは相続開始から10年を経過する前に、請求する必要があります(民法1042条)。
参考条文
民法
(遺贈又は贈与の減殺請求)
第千三十一条 遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。
(減殺請求権の期間の制限)
第千四十二条 減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。