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相続のよくあるご質問
相続分の放棄とはどのような手続ですか

相続分の放棄とはどのような手続ですか

回答

相続分の放棄とは、共同相続人が、遺産に対する自身の相続分を放棄することをいいます。

相続分を放棄するにあたって、特に方式に決まりはありません。しかし、相続分の放棄は相続分を失うという重大な効果が生じるため、実務上(相続手続上)は、相続人が自らの意思で相続分を放棄したことを明確にするため、相続分の放棄を証する書面に署名し、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求められることが通常です。

解説

1.相続分の放棄とは

相続分の放棄とは、共同相続人が、遺産に対する自身の相続分を放棄することをいいます。

2.相続分の放棄ができる期間

相続分の放棄は、相続の開始(被相続人の死亡日)から遺産分割の間までに行う必要があります。なぜなら、遺産分割によって遺産が具体的に分割されるため、その時点で共同相続人の遺産共有状態が解消されるためです。

3.相続分の放棄の手続

相続分の放棄をするにあたって、方式の決まりはありません。口頭でも有効ですが、後日の争いを避けるため、相続分の放棄書面を作成し、署名、実印の押印、印鑑証明書の添付を受けるのが実務の取扱いです。

4.相続分の放棄の効果

相続分の放棄をすると、遺産に対する共有持分権(相続分)を失います。ただし、家庭裁判所に対する相続放棄とは異なり、相続分の放棄は、相続人としての地位まで失うわけではないため、被相続人の借金などの相続債務の負担義務は残ります。

そのため、事案にもよりますが、被相続人の遺産に多額の借金があるような場合には、相続分の放棄ではなく相続放棄を検討したほうがよい場合もあります。

4-1.他の相続人の相続分に与える影響

相続分の放棄がなされると、特段の意思表示のない限り、放棄をした相続人の相続分が、他の相続人の本来の相続分に応じて帰属すると考えられています。

例えば、父が死亡して、相続人が妻と子2名の場合、子のうち1名が相続分の放棄をすると、子1名の相続分(4分の1)が、他の相続人の本来の相続分(妻2分の1、子4分の1)に応じて(2対1の割合で)帰属します。

すなわち、妻は放棄した子の相続分4分の1に3分の2を乗じた12分の2を、相続分の放棄をしていない子は、放棄した子の相続分4分の1に3分の1を乗じた12分の1を取得します。

その結果、妻は本来の相続分である2分の1に12分の2を加えた12分の8(3分の2)を、子は本来の相続分である4分の1に12分の1を加えた12分の3(3分の1)の相続分を有することになります。

4-2.家庭裁判所の遺産分割調停・審判との関係

家庭裁判所に遺産分割調停や審判手続が係属している段階で、相続分の放棄を行う場合は、家庭裁判所に対して相続分の放棄書(実印押印、印鑑証明書添付)等を提出します。

放棄書等が提出されると、家庭裁判所は、相続分の放棄をした相続人を遺産分割調停等の当事者たる地位を失わせる排除決定をします。排除決定が確定すると、相続分の放棄をした相続人は遺産分割調停等の当事者ではなくなります。

相続登記との関係

ただし、遺産に不動産が含まれており、不動産に法定相続分で相続登記が既になされている場合には、不動産登記手続上、相続分を放棄した相続人であっても、手続に関与する必要が生じる場合があります。

例えば、被相続人Aの法定相続人が妻B、子C及びDの場合で、A名義の不動産に法定相続分による相続登記が既に入っている場合(この場合、Bは4分の2、Cは4分の1、Dは4分の1の登記となります)です。

この場合、遺産分割調停等で妻Bが当該不動産を取得する結果となり、Cが手続の途中で相続分の放棄によって当事者の地位を喪失していたとしても、Bに対するCD持分全部移転の登記手続上、Cの関与が必要となります。

このような場合は、相続分の放棄をしたCを手続から脱退させず、形式的に調停手続に関与させたままにする等の方法が考えられます。

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