ホーム > 相続Q&A > 相続登記(名義変更) > 不動産について、登記が必要なのはどのような場合ですか
相続のよくあるご質問
不動産について、登記が必要なのはどのような場合ですか

不動産について、登記が必要なのはどのような場合ですか

回答

建物を新築したり、土地や建物の所有者が変わった場合等に、登記が必要となります。主なものは、以下のとおりです。

1.建物を新築したとき・・・建物表題登記、所有権保存登記

2.建物を増築したとき・・・建物表題登記の変更登記

3.建物を取り壊したとき・・・建物滅失登記

4.土地や建物を売買・贈与したとき・・・所有権移転登記

5.土地や建物を相続したとき・・・相続登記

6.土地・建物を担保にお金を借りるとき・・・抵当権設定登記

7.住宅ローンなどを返済したとき・・・抵当権抹消登記

解説

1.建物を新築したとき

1-1.建物表題登記

建物を新築した場合、建物表題登記を申請する必要があります。建物表題登記は、その所有権を取得した日から1か月以内に管轄の法務局に申請する必要があります(不動産登記法471項)。

また、建物表題登記の申請を怠った場合、10万円以下の過料に処せられます(同164条)。

建物表題登記は、銀行から融資を受ける際の抵当権設定登記の際には必ず必要となりますし、建物を相続して売却する場合にも必ず必要となりますので、建物を新築した場合は速やかに登記申請を行う必要があります。

参考条文

不動産登記法

(建物の表題登記の申請)

47

新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。

(過料)

164

第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条又は第五十八条第六項若しくは第七項の規定による申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

1-2.所有権保存登記

所有権保存登記とは、建物表題登記がなされていることを前提に、当該建物に対して誰が所有者であるかを公示する登記です。

建物表題登記があるだけでは、当該建物が誰の所有物であるかが判然としませんが、所有権保存登記があることによって当該建物の所有者を確認することができます。

2.建物を増築したとき

建物を増築した場合、建物表題登記の変更登記が必要です。この登記も、表題登記同様に変更があった日から1か月以内に申請する必要があります(同法511項)。

3.建物を取り壊したとき

建物を取り壊したときは、建物滅失登記を行う必要があります。建物を物理的に壊しただけでは、建物の表題登記は抹消されません。表題登記がいつまでも残っていると、不要な固定資産税等が課税されるリスクもあるため、速やかに建物滅失登記を申請することが望ましいといえます。

4.土地や建物を売買・贈与したとき

土地や建物を売買したり、贈与した場合は、所有権移転登記を申請します。所有権移転登記の申請は義務ではありませんが、二重売買されたような場合、登記をした方が当該不動産の権利を取得します。

お金だけ払って権利を取得できないような事態を防ぐため、不動産を売買した場合は必ず所有権移転登記も行う必要があります。

また、不動産を贈与した場合も、権利の取得を確実にするため、所有権移転登記を申請する必要があります。

なお、不動産は高額の財産であるため、贈与した場合に贈与税や不動産取得税が高額となる可能性があります。そのような場合に、贈与税が払えないから、贈与を当事者間で取り消したり解除したりしたとしても、税務上は贈与税の支払い義務が生じます。不動産を贈与する場合は必ず司法書士や税理士などの専門家に相談の上行うことをお勧めします。

5.土地や建物を相続したとき

土地や建物を相続した場合は、相続登記を申請します。相続登記とは、不動産の名義を被相続人(亡くなった人)から相続人(不動産を相続した人)に変更する手続きです。

相続登記は、現在は義務ではありませんが、不動産を売却する場合や抵当に入れる場合は必ず必要となる手続であり、二次相続の発生等により必要なハンコがもらえなくなる可能性もあるため、速やかに手続を行うことをお勧めします。

6.土地・建物を担保にお金を借りるとき

土地や建物を担保にお金を借りる場合、金融機関は当該土地建物に抵当権を設定し、抵当権設定登記を申請します。

抵当権を設定することで、万一融資したお金が回収できない場合に、当該不動産の売却代金から優先的にお金を回収することができます。また、競売の手続もスムーズに行うことが可能となります。

7.住宅ローンなどを完済したとき

住宅ローンなどを完済した場合、ローンの対象となる不動産につけていた抵当権を抹消する必要があります。この登記を抵当権抹消登記といいます。

抵当権抹消登記も義務ではありませんが、実体上借金はなくても、抵当権設定登記が残ったままだと不動産を売却することはできません。また、銀行が発行する書類も、代表者が変更したような場合は再発行が必要となる可能性もあるため、ローンを完済した場合は速やかに抵当権抹消登記を申請することをお勧めします。

ご利用にあたっての注意事項

● 記載内容には正確を期しておりますが、執筆日以降の法改正等により内容に誤りが生じる場合もございます。当事務所は、本記事の内容の正確性についていかなる保証をもいたしません。万一、本記事のご利用により閲覧者様または第三者に損害が発生した場合においても、当事務所は一切の責任を負いません。
● 本記事の著作権は当事務所に帰属します。テキスト・画像を問わず、SNS等への本記事の無断転載・引用を禁止します。また、本記事の商用利用および訴訟等へ提出する証拠としての利用を禁止します。
● 当事務所は、本記事を予告なしに変更または削除する場合があります。
● 本記事の内容に関するお問い合わせやご質問には応じられません。

遺産相続でお悩みの方へ。
相続問題に強い中部法律事務所の弁護士が、専門家として、
親切・丁寧に対応,相続事件の解決を全力サポートします。